コラム

リスクアセスメント実施していますか:まずはリスクと課題の違いを理解しよう!

リスクアセスメントの重要性:全業種における効果的なリスク管理

読者のみなさまの会社ではリスクアセスメントを実施していますか?

リスクとは、ある事象が起こった場合に生じる損失や悪影響の可能性を指します。そのため、リスクとはある特定の業種や業務だけに関係するものではなく、あらゆる業種や業務に関係しています。
リスクアセスメントとは潜在的なリスクを特定し、その発生可能性と影響度を評価して、適切な対応策を策定する一連のプロセスです。有効なリスクアセスメントにより、企業や個人が直面する潜在的なリスクを理解し、それらを緩和または回避するための戦略を立てることができることになります。

リスクと課題の違いを理解する:目標達成の障害をどう区別するか

ここで質問です。リスクの定義については上で触れていますが、リスクと同じような言葉で課題があります。リスクと課題は両方とも目標達成を阻害する可能性のある要素のように思われますが、いったい何が違うのでしょうか?読者のみなさまの会社でも、「リスク一覧表」や「課題一覧表」を作るよう指示を受けることがあるかと思いますが、どっちに書けば良いのだろうと迷うことはありませんか?

そこで、実際にリスクアセスメントの説明を行う前に、リスクと課題の違いから理解しておきましょう。

リスクと課題の2つを分類する上でいくつかの観点がありますが、

1.事象の発生有無

◆まずは発生時期です。
・リスクは今現在発生していないが、将来発生する可能性がある潜在的な問題です。
・一方、課題は今現在既に発生している具体的な問題です。原因が特定されており、解決に向けて取り組む必要がある事象のことです。

2.不確実性

◆次に不確実性です。
・リスクは発生確率と影響度で評価しますが、今現在発生していないので両方とも発生したことを想定した推測値になるので不確実です。
・一方、課題は発生している問題であるため、具体的な影響度を評価することができます。

3.対応方法

◆さらに対応方法が違います。
・リスクは今現在発生していないので、事前に予防策を講じることが必要です。具体的には、リスクアセスメントを実施し、リスク重要度(発生可能性と影響度で評価)の高いものから対策を検討・実施します。これにより、実際にリスクが発現した場合でも影響度を低く抑えることができます。これがリスクマネジメントの一番のメリットになります。
・一方、課題は既に発生している問題であるため、緊急に解決策を講じることが重要です。具体的には、課題の原因(根本原因)を分析し、それに対する解決策(自社で対応可能な対策)を検討・実施します。

リスクと課題の実例

上の説明だけではリスクと課題の違いが分かりにくいと思いますので、リスクと課題の例を示します。

◆リスクの例として、例えば 
・有識者の退職により新しい製品の開発が遅延し、今期の売上が目標達成できないリスク
・サイバー攻撃により顧客情報が漏洩するリスク
・自然災害により事業の継続ができなくなるリスク
などです。

◆課題の例として、例えば
・同業他社が近くに出店したことの影響で売上が減少している
・同業他社に比べて給与が低く従業員の離職率が高い
・ネットワーク機器のOSバージョンアップが原因でシステム障害が発生している
 などです。

リスクと課題を区別することは、効果的な対策を講じるために重要です。リスクに対しては、予防策を講じることで、問題が発生する前に対策することができます。一方、課題に対しては、解決策を講じることで、問題を解決することができます。

リスクと課題の区別のポイント

以下に、リスクと課題を区別するためのポイントを示します。
発生時期:いつ発生したのか、または発生する可能性があるのかを確認します。
不確実性:発生可能性と影響度がどれほど不確実なのかを確認します。
対応方法:予防策が必要なのか、解決策が必要なのかを確認します。

まとめ

リスクと課題は、どちらも目標達成を阻害する可能性のある要素ですが、発生時期、不確実性、対応方法において重要な違いがあります。リスクと課題を区別し、それぞれ適切な対策を講じることが重要です。

次のコラムでは、実際のリスクアセスメントの手順について説明します。

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