コラム

金融商品取引法対応の内部統制構築と評価ポイント:決算財務報告プロセスの構築の完全ガイド

今回は、「決算財務報告プロセス」の構築について説明します。

「決算財務報告プロセス」とは

主として、財務経理部門が担当する決算・財務報告に係る業務プロセスのうち、全社的内部統制に準じて、すべての事業拠点について全社的な観点で評価することが適切と考えられるもので、主に

1.総勘定元帳から財務諸表を作成する決算処理

2.連結修正、報告書の結合および組替など連結財務諸表作成のための仕訳とその内容を記録する連結決算処理

3.財務諸表等に関連する開示事項を記載するための手続

から構成されます。

今回は、この3つにおいて、決算財務報告プロセスで整備するサブプロセスの内容を例示します。

※この分類やサブプロセスの内容はあくまでも一例ですので、必ずしもこれに従う必要はございません

1.残高確認

企業の財務諸表に記載されている残高が正確であることを確認するためのプロセスです。

1.確認対象の選定:リスク評価に基づき、リスクが高いと判断される勘定科目の残高を優先的に確認します。一般的には、売掛金、買掛金、在庫、銀行預金、借入金などの主要な勘定科目が対象となります

2.確認依頼の送付:確認対象の勘定科目、残高、確認依頼日、回答期限などの情報を含んだ残高確認の依頼状を作成し、取引先や金融機関に送付します

3.回答の受領と記録:取引先や金融機関からの回答を受領し記録します

4.残高の照合:受領した回答をもとに、帳簿残高と照合します。回答が一致する場合は、その旨を記録します。不一致が発見された場合は、その原因を調査し、必要に応じて調整仕訳を行います

5.調整仕訳の作成:不一致の原因が判明した場合、経営陣の承認を得た上で適切な調整仕訳を作成します

6.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

2.決算処理

決算方針決定

企業の財務報告の正確性と透明性を確保するためのプロセスです。

1.決算方針の策定:経営方針や企業戦略に基づき、収益認識基準、費用計上基準、減価償却方法、引当金の設定基準などを加味して決算方針を策定します

2.方針の文書化と承認:決算方針を文書化し、経営陣および関係部門に周知し、取締役会や経営陣による承認を得ます

3.決算方針の適用:決算方針を実際の決算プロセスに適用します

4.方針の見直しと更新:会計基準や法令の変更、企業の状況変化に応じて、決算方針を見直し、必要に応じて更新します

未経過勘定関連仕訳

未経過勘定は、未経過収益と未経過費用の2つに分類され、これらの仕訳プロセス及び承認プロセスを作成します。

1.未経過収益とは、現時点では収益として認識すべきではないが、将来の期間に収益として認識される収入で、例えば前受金や前受収益がこれに該当します

2.未経過費用とは、現時点では費用として認識すべきではないが、将来の期間に費用として認識される支出を指します。例えば、例えば前払い費用や前払費用がこれに該当します

3.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

貸倒引当金

貸倒引当金のプロセスは、企業が債権の回収リスクを評価し、将来の貸倒れ損失に備えるためのプロセスを作成します。

1.債権の評価:貸倒れリスクのある債権(売掛金、受取手形など)の特定と評価をします

2.貸倒れ見積額の算定:過去の貸倒れ実績や現在の経済状況を考慮し、将来発生する可能性のある貸倒れ見積額を算定します

3.貸倒引当金の計上:貸倒れ見積額に基づき、適切な貸倒引当金を計上します

4.期中のモニタリング:定期的に債権の状況をモニタリングし、新たな情報や状況変化に応じて貸倒引当金を見直しします

5.決算時の調整:貸倒引当金の残高を見直し、必要に応じて調整仕訳を行います

6.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

在庫評価

企業が保有する在庫(原材料、仕掛品、製品)の価値を正確に評価し、財務諸表に適切に反映するためのプロセスです。

1.在庫の分類と記録:在庫を原材料、仕掛品、製品に分類し、それぞれの在庫及び入出庫記録を正確に記録します

2.在庫の実地棚卸:実地棚卸を行い、帳簿上の在庫と実際の在庫が一致しているか確認します

3.在庫評価方法の選定:FIFO(先入先出法)、LIFO(後入先出法)、加重平均法などの適用を決定し、一貫して適用します

4.在庫の評価:在庫の取得原価や製造原価を正確に把握し、評価への反映及び期末の在庫価値を計算し、帳簿に記載します

5.減損の検討:在庫の減損(市場価値が帳簿価値を下回る場合の評価損失)を確認し、減損が認められる場合は減損損失を計上し財務諸表に反映します

6.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

賞与引当金

従業員に対する賞与(ボーナス)の支給に備えて、適切に引当金を計上するためのプロセスです。

1.賞与の計算基準の設定:賞与支給の基準や計算方法を決定します

2.賞与の見積額の算定:各従業員に対する賞与の見積額を算定します

3.引当金の計上:見積もった賞与額に基づき、引当金を計上します

4.引当金の見直しと調整:期中に業績や従業員の状況が変化した場合、引当金の増減を調整する仕訳を行います

5.決算時の精査と確定:決算時に賞与引当金の残高を精査し、確定額を算出し調整仕訳を行います

6.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

退職給付引当金

従業員の退職に伴う給付を将来に備えて適切に計上するためのプロセスです。

1.退職給付制度の理解と記録:企業の退職給付制度を正確に理解し記録します。これには、確定給付制度や確定拠出制度などが含まれます

2.アクチュアリアル計算の実施:退職給付引当金の見積りでは、従業員の年齢、給与水準、勤続年数、退職率、死亡率、割引率などのデータを使用しアクチュアリ(保険数理士)による計算を行います

3.退職給付引当金の計上:アクチュアリの計算結果に基づき、退職給付引当金を計上します

4.引当金の見直しと調整:期中に従業員の状況や経済環境が変化した場合、引当金の見直しを行います

5.決算時の精査と確定:決算時に退職給付引当金の残高を精査して確定額を算出し、実際の退職給付額が確定したら調整仕訳を行います

6.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

固定資産減損

企業が保有する固定資産の価値が帳簿価額を下回る場合、その価値の減少を財務諸表に反映するためのプロセスです。

1.減損の兆候の識別:資産の市場価値の著しい下落、技術の進歩や市場の変化による資産の陳腐化などによる減損の兆候を識別するための定期的な評価を行います

2.減損テストの実施:減損テスト(資産の帳簿価額と割引前将来キャッシュ・フロー総額を比較して、減損を実施するか否かを判断)の結果、資産の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合、その差額を減損損失として計上します

3.減損損失の見直し:定期的に減損損失を見直し、必要に応じて調整を行います。市場環境や資産の使用状況が変化した場合には、回収可能価額の再評価を行います

4.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

金融商品評価

企業が保有する金融商品の価値を正確に評価し、財務諸表に適切に反映するためのプロセスです。

1.金融商品の分類:短期的な売買を目的で保有している売買目的金融商品、満期まで保有することを目的とした満期保有目的の債券、その他有価証券など、保有する金融商品を目的別に分類します

2.評価基準の設定:各分類に応じた評価基準を設定します

  売買目的金融商品は時価で評価し、評価差額は損益として計上します

  満期保有目的の債券は取得原価で評価し、償却原価法を適用します

  その他有価証券は時価で評価し、評価差額はその他包括利益として計上します

3.時価の取得と確認:時価の取得には市場価格、ブローカーの見積り、評価モデルなどを使用して金融商品の時価を取得し、その正確性を確認します

4.評価差額の計上:時価評価に基づく評価差額を計上します

5.定期的な見直しと再評価:定期的に金融商品の評価を見直し、市場変動や状況の変化に応じて再評価を行います

6.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

その他引当

将来発生する可能性のある負債や費用に備えて適切な引当金を計上するためのプロセスです。

1.引当の対象の特定:例えば、修繕引当金、返品調整引当金、訴訟引当金、リストラ引当金など、企業が直面する可能性のある負債や費用を特定します

2.引当金の見積り:過去の実績データ、現在の状況、専門家の意見などを活用し、引当対象ごとの将来発生する可能性のある負債や費用を見積もります

3.引当金の計上:見積もった引当額を計上します

4.引当金の見直しと調整:定期的に引当金の残高を見直して実際の発生額や状況の変化に応じて調整し、必要に応じて引当金を増減させる仕訳を行います

5.決算時の精査と確定:決算時に引当金の残高を精査して確定額を算出し、実際の発生額が確定した場合、適切な調整仕訳を行います

6.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

税金計算・税効果

企業が適切に税務申告を行い、税金に関する情報を正確に財務諸表に反映するためのプロセスです。

1.税務基礎データの収集:利益計算書、貸借対照表、現金流量計算書など税金計算の基礎となるデータを収集します。また、税務調整が必要な項目(非課税収益、非経費、損金算入限度超過など)を特定します

2.課税所得の算定:恒久的差異(税法上、将来的に戻らない差異)と一時的差異(税務と会計上で異なる期間に認識される差異)などの税務調整を行い、会計上の利益から課税所得を算定します

3.法人税の計算:課税所得に基づいて法人税を計算します

4.繰延税金資産・負債の計上:一時的差異に基づいて繰延税金資産・負債を計上します

5.税務申告書の作成と提出:税務申告書を作成し、所定の期限までに提出します。申告内容が正確であることを確認します

6.税務調査対応:税務当局からの税務調査に対応し、必要に応じて追加の情報提供や修正申告を行います

7.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

勘定明細作成及び試算表検証

企業の財務データを整理し、正確な財務報告を作成するためのプロセスです。

勘定明細作成プロセス

1.取引の記録と分類:仕訳帳や総勘定元帳を使用し、すべての取引を適切な勘定科目に分類し、記録します

2.勘定明細の作成:各勘定科目の取引履歴の明細を作成します

3.勘定残高の確認:各勘定科目の残高を確認し、正確性を検証します。残高が正しくない場合は、原因を調査し、修正します

4.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

試算表検証プロセス

1.試算表の作成:勘定明細を基に試算表を作成します

2.試算表の検証:試算表の借方合計と貸方合計が一致しているかを確認し、一致しない場合は、誤差の原因を特定して修正します

3.調整仕訳の作成:必要に応じて払い費用、未収収益、前払費用、前受収益などの調整仕訳を作成し、試算表を調整します

4.最終試算表の作成と確認:調整仕訳を反映した最終試算表を作成します

5.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

3.個別財務報告

試算表組替

企業が決算を行う際に、取引やイベントの性質を正確に反映し、財務諸表の各項目に適切に分類するためのプロセスです。

1.試算表の準備:決算前に、すべての取引を記帳した試算表を作成します

2.決算整理仕訳の作成:試算表の各勘定科目について、収益や費用の繰延および見越し、減価償却費、引当金の設定などが含まれた決算整理仕訳を作成します

3.組替仕訳の作成:取引の性質や財務諸表の表示方法に応じて、適切に勘定科目を分類するため決算整理仕訳を反映した後、試算表の組替を行います

4.試算表の組替:組替仕訳を反映して試算表を組替えます

5.試算表の検証:試算表の借方合計と貸方合計が一致していることを確認し、組替後の試算表を検証し、正確性を確認します

6.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

連結パッケージ上の決算仕訳

連結先が連結財務諸表を作成するために、連結元が自社の財務データを適切に整備し、必要な調整を行うプロセスです。

1.連結パッケージの作成:連結先が要求する形式および内容を含む形で、標準化されたフォーマットに基づき、財務諸表、補足情報、内部取引明細、調整仕訳の詳細などが含まれた連結パッケージを作成します

2.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

連結パッケージ明細資料・注記資料作成

連結先が連結財務諸表を正確に作成するために必要な詳細情報を提供するためのプロセスです。

1.データ収集と準備:自社の財務データを収集し、連結パッケージに含めるべき、個別財務諸表、補助簿、内部取引明細、重要な取引やイベントに関する情報などの明細資料および注記資料を準備します

2.標準化と整合性の確認:会計方針や報告形式の整合性を確認し、収集したデータを連結先の報告基準に基づいて標準化します

3.明細資料の作成:固定資産明細、債権債務明細、在庫明細などを含む、各勘定科目に関する詳細な明細資料を作成します

4.注記資料の作成:重要な会計方針、会計上の見積りの変更、重要な後発事象などに関する注記資料を作成します

5.内部取引の報告:内部売上、内部貸付、内部配当など、連結先およびグループ内の会社との内部取引に関する詳細な情報を報告します

6.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

7.連結先への提出:完成した連結パッケージ明細資料および注記資料を連結先へ提出します

4.連結決算

連結範囲の決定

連結財務諸表を作成するために、どの子会社や関連会社を連結対象とするかを決定するステップです。

1.連結基準の確認:連結範囲を決定するため、支配力基準や持分基準に基づき基準を確認します。支配力とは、投票権の過半数を所有しているか、その他の方法で財務および業務方針を決定する能力になります

2.対象企業のリストアップ:連結の対象となる可能性のある企業(子会社、関連会社、合弁会社など)をリストアップします

3.支配力の評価:直接および間接の持分割合、取締役会や経営陣の選任・解任に対する影響力、その他の契約や取り決めによる支配力などから支配力があると判断された企業を連結範囲に含めます

4.関連会社および持分法適用会社の評価:支配力はないが、重要な影響力を持つ企業については関連会社として持分法を適用します

  ※持分法適用会社の評価基準として、一般的には20%から50%の持分を有する場合が該当しますが、具体的な影響力を評価する必要があります

5.例外の検討:特殊な状況や支配力があるにもかかわらず実質的に制約されている場合や、財務状況が極端に異なる場合は、それを考慮して連結範囲を決定します

6.連結範囲の最終決定:すべての評価を基に、最終的な連結範囲を決定し経営者の承認を得ます

連結パッケージの配布・回収及び単純合算

親会社が子会社から財務データを収集し、連結財務諸表を作成するためのステップです。

1.連結パッケージの作成と配布:親会社は、各子会社が報告するための標準化されたフォーマットと必要な補足資料が含まれている連結パッケージを作成します。連結パッケージには、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、内部取引明細、注記情報などが含まれます。さらに、連結パッケージを各子会社に配布し、提出期限を設定します

2.子会社によるデータ入力と提出:各子会社は、連結パッケージのフォーマットに従って、財務諸表、内部取引明細、注記情報など、自社の財務データを入力します

3.連結パッケージの回収と確認:親会社は、提出された連結パッケージを回収し、すべての子会社からのデータが揃っていることを確認し、不備があれば子会社に連絡して修正を依頼します

4.データの標準化と調整:子会社から回収したデータを標準化し、親会社の会計基準に従って調整します

5.単純合算:調整済みのデータを基に、すべての子会社の貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務データを単純合算します

投資・資本の相殺消去

親会社の投資と子会社の資本を消去し、連結財務諸表を作成するためのステップです。

1.親会社の投資と子会社の資本の把握:親会社の連結対象となる子会社への投資額および子会社の資本構成を確認します。親会社の個別財務諸表における投資勘定(例:子会社株式)と、子会社の資本勘定(例:資本金、資本剰余金、利益剰余金)を把握します

2.投資および資本の相殺消去仕訳の作成:親会社の投資と子会社の資本を相殺消去するための仕訳を作成します。この仕訳により、親会社の投資勘定と子会社の資本勘定が消去されます

3.のれんおよび負ののれんの計上:投資と資本の相殺消去後、差額が生じた場合、のれん(Goodwill)または負ののれん(Bargain Purchase)として計上します

4.非支配株主持分の計上:子会社が親会社の完全子会社でない場合、非支配株主持分を計上します

5.連結調整仕訳の確認と反映:作成した相殺消去仕訳および連結調整仕訳を確認し、正確性を確認します

6.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

会社間取引消去

連結財務諸表を作成する際に、親会社と子会社、または子会社間で行われた取引を消去し、グループ全体の財務状況を正確に反映するためのステップです。

1.会社間取引の特定:親会社と子会社、または子会社同士の間で行われた、売上・仕入取引、債権・債務取引、配当取引、貸付・借入取引、費用配分取引などの取引を特定します

2.相殺仕訳の作成:会社間取引の二重計上を防ぐため、相殺仕訳を作成します。これにより、親会社と子会社、または子会社同士の取引が連結財務諸表に反映されないようにします

3.調整と確認:相殺仕訳を作成した後、消去仕訳の正確性を確認します

4.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

未実現利益の消去

連結財務諸表を作成する際に、グループ内の取引で発生した未実現利益を消去するためのステップです。

1.未実現利益の特定:親会社と子会社間、または子会社同士の間で行われた在庫の販売や資産の取引などグループ内取引で発生した未実現利益を特定します。取引の詳細を記録し、取引価格、原価、利益率などを明確にします

2.未実現利益の計算:各取引において、取引価格から原価を差し引いた未実現利益を計算します

3.消去仕訳の作成:グループ内取引で発生した利益が連結財務諸表に反映されないよう、未実現利益を消去するための仕訳を作成します

4.継続的な調整:未実現利益の消去は、期末だけでなく、次の期にも継続的に行う必要があるので、未実現利益が次の期に実現された場合、その分を調整します

5.確認と承認:作成した消去仕訳を確認し、正確性を確認します。仕訳の確認後、経営陣や財務責任者による承認を得ます

持分法処理

企業が関連会社(通常、20%から50%の議決権を持つ会社)に対する投資を会計処理する際に使用される方法で、投資先の純資産の変動に応じて投資額を調整し、関連会社の利益や損失を自社の財務諸表に反映させます。

1.関連会社の特定:関連会社の定義に基づき、持分法を適用すべき関連会社を特定します

2.初期投資額の記録:関連会社への初期投資額を記録します。これは、関連会社株式として計上されます

3.持分法による投資額の調整:関連会社の純資産における変動(利益、損失、配当など)に基づき、投資額を調整します

4.未実現利益の消去:関連会社との取引で発生した未実現利益を消去します

5.連結財務諸表への反映:調整後の投資額を連結財務諸表に反映させます

6.承認とレビュー:上位管理者や経営者の承認やレビューを受けます

注記情報の集計

注記情報は、財務諸表に記載された金額に関する詳細な説明や、財務諸表には直接反映されないが財務報告において重要な情報を提供します。

1.注記情報の収集:各部門や子会社から会計方針、見積りの変更、重要な契約、偶発事象、リスク管理に関する注記情報を収集します

2.注記情報の検証:関連する資料やデータの確認、関係者へのインタビューなど収集した注記情報を検証し、正確性と完全性を確認します

3.注記情報の分類と整理:財務諸表の各項目に対応する注記情報を適切に分類し、整理します

4.注記情報の作成:整理された注記情報を基に必要な説明や補足情報を加え、財務諸表の注記を作成します

5.内部レビューと承認:作成された注記情報は、内部レビューを経て、正確性と適正性を確認します

連結精算表及び連結試算表検証

連結財務諸表を作成するための重要なステップです。このプロセスを通じて、親会社と子会社の財務データが正確に統合され、連結財務諸表の信頼性を確保します。

1.子会社の財務データ収集:各子会社から貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、注記情報などの個別財務諸表や補助資料を収集します

2.データの標準化と調整:各子会社の財務データを親会社の会計基準に合わせて会計方針や報告形式の調整、通貨換算などを標準化します

3.連結精算表の作成:子会社の財務データを統合し、親会社と子会社の財務データを単純合算したものに、必要な調整仕訳を反映させた連結精算表を作成します

4.会社間取引の消去:グループ内の売上・仕入取引、債権・債務取引、配当取引、貸付・借入取引など会社間取引を消去するための仕訳を作成します

5.未実現利益の消去:グループ内の取引で発生した在庫や固定資産の未実現利益を消去します

6.投資と資本の相殺消去:親会社の子会社株式と子会社の資本を相殺消去する仕訳を作成します

7.のれんおよび負ののれんの計上:投資と資本の相殺消去後に発生する差額をのれんまたは負ののれんとして計上します

8.非支配株主持分の計上:連結グループ内の親会社が100%所有していない子会社の部分を反映し非支配株主持分を計上します

9.連結試算表の作成:すべての調整仕訳を反映させた後、連結試算表を作成します

10.検証とレビュー:作成された連結試算表を詳細に検証し、各項目が正確に計上されているか内部レビューおよび管理職による承認を行います

連結キャッシュフロー計算書の作成

連結財務諸表の重要な一部であり、企業グループ全体のキャッシュフローの動向を把握するためのもので、このプロセスを適切に実行することで、グループの資金状況を正確に報告し、投資家やその他の利害関係者に信頼性の高い情報を提供することができます。

1.子会社のキャッシュフロー計算書の収集:各子会社から営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローなど個別のキャッシュフロー計算書を収集します

2.データの標準化と調整:子会社のキャッシュフロー計算書を親会社の会計基準に従って標準化します

3.連結キャッシュフローの集計:各子会社のキャッシュフロー計算書を単純合算し、グループ全体のキャッシュフローを集計します

4.内部取引の消去:グループ内の内部取引を消去するための仕訳を作成します

5.連結キャッシュフロー計算書の作成:調整後の営業活動、投資活動、財務活動の各セグメントのキャッシュフローなどのデータを基に、連結キャッシュフロー計算書を作成します

6.キャッシュフローの分類:各キャッシュフローを営業活動、投資活動、財務活動に分類します

7.連結キャッシュフロー計算書の完成:全ての調整と分類を反映させた最終的な連結キャッシュフロー計算書を完成させます

8.内部レビューと承認:完成した連結キャッシュフロー計算書を内部レビューし、正確性と適正性を確認します

5.開示財務報告書の作成

財務諸表の組替

決算財務報告書を作成する際に、財務データを適切な形式に再配置し、正確で一貫性のある財務諸表を作成するためのステップです。

1.基礎データの収集:個別財務諸表および連結財務諸表の基礎データを収集します

2.組替の必要性の確認:現行の財務諸表と開示要件を比較し、組替が必要な項目を特定します。新しい会計基準や法令の変更、経営方針の変更などが原因で組替が必要になることがあります

3.組替計画の策定:組替のため、組替の範囲、影響を受ける勘定科目、組替の方法、組替のスケジュールなどの具体的な計画を策定します

4.組替仕訳の作成:組替が必要な勘定科目について、組替仕訳を作成します

5.組替後の試算表の作成:組替仕訳を反映させた後、新しい形式で試算表を作成します

6.内部レビューと承認:組替後の試算表および財務諸表を内部レビューし、正確性と適正性を確認します

7.開示財務報告書の作成:組替後の試算表を基に、開示財務報告書を作成します

注記情報の作成

財務報告の透明性と信頼性を確保するため、財務諸表に記載された金額に関する追加情報や、財務諸表には直接反映されないが重要な情報を提供します。

1.必要な注記情報の特定:会計方針、重要な会計上の見積り、偶発事象、リスク管理、関連当事者取引など、財務報告に必要な注記情報を特定します

2.情報の収集:各部門や子会社から会計方針の変更、重要な契約、リスク管理の方針、関連当事者取引の詳細など必要な情報を収集します

3.情報の検証:関連する資料やデータの確認、関係者へのインタビューなど収集した情報を検証し、正確性と完全性を確認します

4.注記情報の作成:収集した情報を基に、注記情報を作成します

5.内部レビューと承認:作成された注記情報を内部レビューし、正確性と適正性を確認します

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